「よ、おはよう。今日もいい天気だな!」
主人公「もう昼なんだけど……」
見当違いの挨拶に呆れて返すと、彼女は明るく笑った。
ニーカ「いいじゃん、別に。それより、さっき先輩が呼んでたよ」
主人公「先輩……ああ、クラーレさんか。だけど、どうして……」
首を傾げる。何かあっただろうか?
様々な可能性を考えて、ある一つに行き当たった。……もしや、あの隠した傷の事?
「なんか怒ってたし、早く行った方がいいんじゃない?」
「何をやらかしたか知らないけど」、と面白そうにくすくす笑う彼女が悪魔に見えてくる。
主人公「それを早く言いなよ!」
何はともあれ、(例え年下であろうとも)上司を怒らせたままでは不味い。
慌てて走り出そうとして、今更気付いた事に足を止めた。
「君、今の会話……」
……久しぶりの祖国の言語に、気付くのがこんなに遅くなるとは。
ニーカ「やーっと気付いたか。実はこの前、少し話してたのを聞いてね。どう? 懐かしくなったか?」
あの、たった一言二言だけで特定して覚えたのか。
異国の少女の妙技に舌を巻く。──ああ、それにしても。
「……そうだね、とても懐かしいよ」